映画を観てきました。
作品は、
「遺されたフィルム」(THE LAST REEL)。
カンボジアの女性監督、ソト・クォーリーカーさんのデビュー作で、
昨年の東京国際映画祭で、
国際交流基金特別賞を受賞しています。
1970年代のクメール・ルージュによる大量虐殺を軸に、
そのおぞましい時代のことに口を閉ざす親世代の苦悩と、
その時代を知らない若者世代の断絶。
両者が、暗くつらい歴史をあえて直視することによって、
過去を乗り越え、共に未来に向かって進んで行こうとする姿を描いた大作で、
とても感動的な作品でした。
映画では、
クメール・ルージュによる
芸術・文化の破壊も描かれていて、
一度徹底的に破壊されたものを、
再生することの難しさも
あらためて痛感させられました。
カンボジアで暮していて、
いろんなところ、いろんな場面で、
「あっ、これもあの時代に壊されてしまったんだろうな---」
「もしも、あの時代がなかったら---」
と
思いを巡らせることがよくあります。
それまでいくつもの時代に渡って積み重ねられてきた伝統や文化が、
否定され破壊されてしまう。たった4年間に、です。
それをまた掘りおこし再生、修復していくことは容易なことではないでしょう。
なにしろ、多くの人々が、知識があるから、文化人だから、
とたったそれだけの理由で殺されていった時代。
物も人もなくなってしまっているのですからー。
話を少し変えて。映画では、プノンペンの裏町的なところや、
シュムリアップの大好きな遺跡「ベンメリア」などが舞台になっていて、
「あっ、あそこあそこ」と、重たい内容の中にも、
映像自体に楽しめるものがあったし、
パンフレットにある監督や俳優さんのあいさつも。
わたし、ちゃんと握手してきましたよ。 かなりミーハー的? いや確信的なミーハーです。周りの人はさっさっと帰っていましたもの。映画祭での授賞の様子が映し出された時には、
会場からはフィルムにも関わらず、
大きな拍手がわき起こり、あったかい雰囲気に。
わたし、これにも少し感激、でした。
最後に。
クメールルージュ時代、
反革命分子とみなされた人々が捕えられ、拷問を加えられたトゥールスレン収容所。
今まで、とても行けない、行けそうにもないと思っていましたが、
行ってみようか、という気に少しだけなってきました。